田邊順一氏による待望の写真集「そのままのあなたでいい・・・」〜こころの居場所で出会った笑顔〜 2000円 筒井書房

田邊順一さんは、これまで認知症の方々の写真を撮ってこられたので、見る前からてっきり認知症の方々の写真集だ!と思い込んでしまい、そのような内容のお礼状をお送りしてしまった・・。なんとも恥ずかしい・・。

こちらはクッキングハウスという場に集う精神の病を持つ人たちの写真集です。「希望の灯が輝く瞬間の笑顔を、残しておいてあげたい」と言う願からクッキングハウスの25周年を記念して田邊さんに白羽の矢が立ったということのようです。

という言葉のとおり、お一人おひとりの心からの笑顔の時が凝縮されていて、なんだかとっても生きるエネルギーが満ちた写真集です。

クッキングハウスのHP:http://www.cookinghouse.jp/

ちなみに、田邊順一さんの認知症の方の写真が掲載されている本。当たり前ですが、写真というのは、それを助ける言葉とともに、言葉以上のリアリティを突きつけてくれます。とはいえ、写真のアングルは無限大に存在しており、撮る人の感性とか、知識・経験だとか、問題意識・問題関心等々で切り取られる瞬間、ところは無限大の中から唯一のその1枚に囲われるわけで、田邊さんの写真の持つ言葉は、たぶんそういう意味ですごく重たさがあるんだと思います。

認知症の人の歴史を学びませんか

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『身体障害者の性活動』(三輪書店)

身体障害者の性活動

身体障害者の性活動

私の不勉強のせいだろうが身体障害を持つ人の性活動、性支援について書かれたまとまった本というのを、これまでほとんど見かけることがなかったように感じている。そうした意味においても障害を持つ人の支援者ならば一度は目を通しておいて良い本であると思う。
それだけでなく本書は色々な意味で面白い内容・構成であるため、それも積極的にお勧めしたい理由となっている。私が感じた本書の魅力は大きく3つある。1つずつ説明をしていく。
まず1つめだが、この本の性に対する基本的なスタンスの気持ちよさである。第1章の一等最初は社会学者の岡原正幸氏による文章である。そこで楔を打ち込むように「この本で最初に問題にするべきは、身体障害者/セックスに関する常識的で支配的な定義」といい、セックスはもっとシンプルに「楽しい、楽しんでいい、楽しむためにはコミュニケーションが必要」(p8)であるとしている。それはこの本を通底している立ち位置であるように思われる。そのために必要な知識、望まれる支援のあり方が書かれている。
2つめは、多様な執筆陣による文章で成り立つ本書だが、それによる一貫性のなさというマイナス面が浮かびあがってこず、むしろ多様な視点が統合的に読み手に伝わる内容・構成になっており、しかもそれぞれが面白くて飽きずに読めるのがとても良いと感じた点である。
この本を読み通してみて、なんとなくこれまで自分が持っていた性活動に対するマイナスイメージが払拭され、「シンプルに楽しめるはずだし、それは障害を持っている人にとっても同じことのはずで、作業療法士がそれを可能にするための支援をするのは障害を持つ人のQOL(Quality of Life:生活の質)の向上のためにも当然必要、自分はどんな支援ができるかな…」と思えるようになった。それには上述したような執筆陣の多様さとそれが相乗効果をなして大きな説得力に繋がっている本書の内容・構成が大きく影響していると思ったので、ここで具体的に紹介をする。
本書は2章構成になっている。第1章には、小川隆敏氏、仙石淳氏らによる障害を持つ人の性支援について医学的知識を基に説明がなされている。勃起障害や射精障害、性反応のメカニズムとその支援方法などについてである。その次に、疾患別の性活動の際に問題になる体位の工夫の方法や訓練法などについて、安井宏氏、野上雅子氏、田中英一氏、玉垣務氏、松本琢磨氏らの作業療法士による文章が掲載されている。さらに「当事者の性活動」ということで、この本の編者の一人である特定非営利活動法人ノアール(身体障害者セクシュアリティに関する支援、啓発、イベントなどを行っている)理事長の熊篠慶彦氏、淵延良介氏、長崎圭子氏、門間健一氏、すがやあゆみ氏らによるご自身の経験を言葉として紡いだ文章が続く。どの文章からも飾らない素のその人が伝わってきて、より身近に性に対する当事者の意識が感じられた。その中に「医療者とは、当事者の苦しみを語り合い、一緒に体位を開発していくくらいの気持ちでいたい。日本全国、どこに住んでいても、同じような医療を受け、その人の生活のあらゆる場面=トイレ、食事、睡眠、遊び、性、それらの日常を当たり前に送るにはどうしたらいいかを一緒に考える「医療職」であってほしい」(p93)とある。
第2章には、サロゲートパートナー療法という、日本では耳慣れないが、セックスセラピスト(対話セラピスト)とサロゲートパートナー(代理恋人)によるチームアプローチによって、自らの身体とセクシャリティをありのまま受け入れ、どのように相手に触れ、相手から触れられるかについて気づきを得たり、学ぶことができたりする療法の紹介や、その療法の体験談が寄せられている。実際の性行為を含むサロゲートパートナー療法は日本において性不全の治療法としても、社会的、倫理的、法的な意味でも認められていないとのことだが、それが生まれるまでの経緯や実際、意義・効果、療法過程、体験談を読むと、一見した印象によって拒絶しがちな私たちの姿勢自体に一考を要する部分があると思われた。その他にも、先に紹介した特定非営利活動法人ノアールOT班に所属する作業療法士(長田杏奈氏、田畑雄吉氏、松浦温子氏、田中由紀氏)の文章が収録されている。長田杏奈氏は「「大切なことだと思うけど、私にはできない」という大多数の感覚」(p144)があるために、性支援を行う作業療法士がいまだに少ないのではないか、ちょっとの勇気と関心を持って「この本を手にとってくださったあなたがNPO法人ノアールにアクセスしてほしい」(p145)と作業療法士に投げかけている。本書の魅力の3つめだが、実際に性支援を行う作業療法士からのメッセージだと感じた。本書によってその問題意識の深さ、実際に行っていることなどを知ることを通じて「私にも何かできるかも知れない」という気持ちを湧き立たせてくれる。

扉を開く人 クリスティーン・ブライデン

扉を開く人 クリスティーン・ブライデン

ご恵送いただきました。ありがとうございます。読むのが楽しみ。この本から認知症の方の新しい<生>の時代が切り開かれるかもしれない。そうなってほしい!

  • ヘレンキームーゼー城

こちらのお城もルードヴィッヒ二世が建造したことで知られるお城です。このお城はキーム湖に浮かぶ島に建てられているので、お城に行くために湖を船で渡るのです。天気も良く、風も穏やかだったので、とても気持ちのいい時間になりました。

なぜかお城の写真がないのですが、秋を感じる道を歩いていくとお城がありました。砂利道、泥道、坂道、と結構歩きましたので、杖歩行の方や車いす介助者には意外と骨の折れる工程だったかも知れません。
とまり木という名前の木だそうです。なんだか絵になります。

夕食を済ませ、船に乗り、キーム湖を後にするときには夕暮れ時でした。最後に、美しいドイツの夕暮れの写真です。

お城に向かうという日の朝、この旅最大のハプニングがありました。おひとり、杖を使って歩く失語症のAさんが、ホテルロビーをでて、観光バスの方に向かう姿はみていたのですが、バスの中で点呼をしてみるといないのです。ホテルの周辺を捜しても見当たらない。まるで神隠しにでも合ったようです。しばらく探しましたが、どうしても見つからない。ノイシュバンシュタイン城は入場規制が厳しく、予約した5分間しか入場できないということで、バスはAさんを残してお城に向かうことにしました。

Aさんが見つかったと知らせがあったのは、ノイシュバンシュタイン城に向かうバスの中でした。みんな歓声をあげて拍手喝采でした。Aさんが一緒でないのはさびしいですが、これで安心してお城の見学ができます。

スイスとの国境付近にあるお城ですが、この時期、晴れていたのでよかったですが、結構雪が積もっていました。寒かったです。お城の麓には美しい湖があります。

お城は麓から歩いて40分程度。馬車もありますが、結構混んでます。今回は車いす利用の方のみ馬車に乗り、残りは杖歩行の方も高齢の方も坂を上っていきました。

お城はこんな山の切り立ったところに建造されているんです!

馬車できた人も歩いてきた人もひとまず予約時間前にお城に到着できました。車いすの人は、専用の通路がある(エレベーターもある)とのことで、しばし分かれての見学です。

ローテンブルグを後にし、ロマンチック街道の途中にあるデュンケルスビュールに立ち寄り、昼食を食べました。

街の入り口には看板が。







街に入るには、川にかかる小さな橋を渡っていきます。






街中に入ってしばらく歩いたところの三ツ星レストランで食事。ライスの上に鮭がのって、その上からソースがかけられた、ドイツでは名のあるお料理なのでしょうか、これが割とよく出されました。日本人だからという配慮でしょうか。






デュンケルスビュールについて紹介しているブログを見つけましたので、リンクしました。
http://plaza.rakuten.co.jp/nagoyajyo/diary/200709050000/