少し息抜き

手招くフリーク―文化と表現の障害学

手招くフリーク―文化と表現の障害学

せっかく頂いたし、面白いので紹介しようしようと思いつつ、今になってしまった・・・。いやはなんだかくらくらしながら生きている。今週末も京都か・・・。はぁ。息も絶え絶え・・・。
まずは本の紹介を。書き手は気鋭の障害学研究者の名が揃っていて、この連なった名前を見るだけでも、手に取りたくなる本です。私はさしあたり、荒井裕樹さんの「自己表現の障害学」と西倉実季さんの「「異形」から「美」へ−ポジティブ・エクスポージャーの試み」を読んだ。荒井さんは、もしかして、前に花田春兆さんのところに伺ったときにいらした人かなぁと思い、読んでみよ、と一番最初に触手が動いた。あとは順子さんの論文を拝読して、関係があるかなぁという期待感もあって。精神障害のある本木健という人の表現活動についての詳細を通して、その力動性というのは、芸術「療法」、作業「療法」のうちに掻き消されていく性質のうちにあることを改めて認識させられる感じを受けた。例えば次のような記述。

「苦しく辛く惨めな症状。しかしそれがあるからこそ、意欲的でいられる自分もあるという症状。この矛盾と葛藤をいかに引き受けていくのかという点にこそ、本木にとっての創作活動の根幹がある」(p214)

あとは、「精神病者」の作品という差別的眼差しが、「<常識>を打ち破る程度に斬新なものであることが期待される一方、<安全>や<秩序>を乱さない程度に無害であることを求める」(p206)という一文には、<私>の無意識のうちの(無意識であるからこその?)嫌らしさが込められている気がしてドキっとした。