淡路島と『ヘヴン』

今日は朝早起きして、東京から1年ぶりの淡路島実習地訪問。島ってなんかのどかでよかった。思えば島ってどこもよい感じ。新島も、初島も、このあいだ行った前島も。前回行っていたので諸々わかっていたから、段取りよく玉葱も段ボールで購入。新神戸から淡路島行きの高速バスに乗るのだが、高速バスで何か読むものをと思い、『ヘヴン』を買った。

ヘヴン

ヘヴン

読みだしたら止まらなくなってしまったのと同時に、バスで本を読めない体質だったことに気付く。気持ち悪くなってしまうのだ。でも読み進めたい気持ちが勝り、内容的に意気消沈しつつも読む。何か煮え切らない感じの後読感でエネルギーを持って行かれた感が残る。その分、読み進んだ時の情動が残像になってなかなか消えない。結論のつけようのない、逆説的世界が最後にわっと押し寄せてきた感じでした。

それで、「反」障害受容なテーマとして読める。主人公の「斜視」の男子中学生は、同級生から凄まじい苛めを受け続けるのだが、ある日、コジマというやはりある「しるし」を担い、苛めを受ける女子中学生と「しるし」を持つゆえの特別な同士として受け入れられる。コジマは「斜視」を絶対的に肯定する唯一の人物だったが、主人公は、極限的身体的・精神的苦痛となぜ自分だけが?という理不尽、現実を動かせない無力さ、等々から、しだいにコジマの崇高な強さに距離を感じ始める。その時たまたま「斜視」が簡単に手術で治ると知り、「斜視」を治すことを選らんだ、という雑駁にいえばそんなストーリー。最後の方、主人公がしだいにコジマとぶれ始め、最後手術を選ぶに至るあたりの描写はほんとスゴイ。