逝かない身体(川口有美子著)

逝かない身体―ALS的日常を生きる (シリーズ ケアをひらく)

逝かない身体―ALS的日常を生きる (シリーズ ケアをひらく)

ご本を頂戴してしまう。川口さんにはお世話になること多々あり、恐縮至極。でも本当にありがとうございますm(__)m。学生に読んでもらうなど、有効に活用させて頂きます(^^)。

まだ途中までしか読んでいないが、リズミカルな文体と軽さと重さとか両極端なものがうまく配合・同居しているような絶妙な表現力でぐいぐいと読まされてしまう。内容は著者である川口さんの経験がまるごと言葉に置換されているわけだが、お母様がALS(進行性筋委縮性側索硬化症)を発症後、川口さんはこれまでの人生の路線から大きく方向転換し、お母様の介護にあたるようになる。川口さんが路線を変えれば、川口さんに関わる周囲の人たちの路線も大きく舵取りを変更せざるを得なくなるが、そうしたお母様の身体の変容をめぐる幾多・幾重にもわたる変更・変容がこの本のなかには書き連ねられている。

ちなみに「障害受容」に関わる記述もあります。

「他の疾患はどうだか知らない。でもとにかくALSとは、「受容」するどころのものではないのは確かだった。家族にとってもALSが飽かず繰り出す障害に、知恵を絞って対抗する日々である。患者が自力でできなくなったことも、介護者の力でなんとか継続することができる。だから医者や看護師の医学的アドバイスなどは、ぎりぎりになるまで要らぬお世話でしかない。本人がそろそろ取引をしてもよいと思われるような、病気とはまったく別の理由やきっかけがないと、失われていく機能をあきらめることなど到底できない」54

「妹はなんとか請負仕事を在宅でできるようにしたが、二人でテレビを見ていたら、「発想の転換」「何でも肯定的に考えてみよう」とどこかの俳優が言っていて、これにはやたら腹が立った。発想を転換して解決できる問題なら、私たちはそれを「悩み」や「負担」なんて呼ばないのだ。」60

まさに!

読み終わったら、全体を通して考えてみたり、紹介をしてみたいと思います(^^)