「Night on Earth」という短編映画を観る。
夜中のタクシー内での出来事がつづられている。黒人男性の運転手とタクシーに乗り合わせた客とのやりとりが主の内容。最初の客2人も黒人男性だが自分たちの立場をひけらかし、黒人ドライバーを(黒人であるがゆえに)馬鹿にしたような言動を繰り返す。そのドライバーは怒り、客2人を真夜中の路上で降ろしてしまう。次の逆は白杖を持った女性。その盲人の女性はけばけばしくて、挑発的な身なりをしている。その目の見えない女性に、自分の肌の色がわかるか?と黒人ドライバーが問う。それに対して盲人の女性は、肌の色は関係ない、私はその人を感じることでその人を理解する、というようなことを言う。目が見えなくても、あなたにできないことができることもある。映画だって見ることもある、という。黒人ドライバーが、目が見えないのにどうやって映画を見るんだ?と聞くと、映画を感じるのだ、と答える。目的地に着き、料金を請求するとき、黒人ドライバーは、本来の額より少し少なめの額を女性に請求した。するとその盲人の女性は、私が目が見えないことを哀れに思ってそんなことをするのか、と怒り、目が見えないのだからメーターはわからないのに移動距離を感覚的に捉えて正しい額を割り出し、それを支払う。しばらくすると、黒人ドライバーの車が対向車とすったらしく、対向車の運転手から、また、差別的な言葉でののしられている。それを横目でみながら涼しい顔で盲人の女性は通りすぎるという場面でこの映画は終わる。


見えることの不自由、見えないことの自由が対比的に描かれている、というような作品という印象。