本紹介

「共に生きる」ための作業療法 2010年 06月号 [雑誌]

「共に生きる」ための作業療法 2010年 06月号 [雑誌]

以下、出版社による紹介。雑誌ならではかも知れない。多様な執筆陣を揃えて、公に言語化されずらいテーマについてこれだけ言説化しているところがすごいと思った。

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「人は一人きりでは生きてはいけない」ということは、誰もが理解するところであろう。自分のよき理解者や、一緒にいると安心できる人など、他者と共に生きることは人生の中で大きな力となる。また、その人らしく生きることの延長線上に人を愛したり、家族をもつことが存在するといえるが、今までOTの支援領域として、これらのことにはあまり光があてられてこなかったのではないだろうか?
本号では、恋愛・結婚,出産や育児,性に関する支援に焦点をあて、なぜOTが支援するのか、現状や課題、教育のあり方について考察する。さらに作業療法の実践例・他職種の活動の様子、当事者の声を豊富に紹介しており、“人が生きていくこと”を支えるすべての方に手にとっていただきたい1冊である。

1章 共に生きる意味
  1.「人間中心のサービス」を目指して―統合失調症患者の結婚支援を
     例に考える / 伊勢田堯
  2.恋愛から育児までの共に生きる支援を作業療法士が行う意義
      / 鶴見隆彦,香山明美
  3.当事者にとっての「共に生きること」
     ―片麻痺である親は,親として片麻痺であるか? / 葉山靖明
  4.「性的快楽追求」は許されないのか
     ―オルタナティブ関係の構築に向けて / 旭洋一郎
 
2章 共に生きるための支援
  1.愛しあい,結ぼれ,命を宿し,産み,育てる
     ―障害がある人たちの生活支援をICFの視点から / 山根 寛
  2.「共に生きる」こととリカバリーの関係 / 野中 猛
  3.当事者の視点からの共に生きるための支援
    ―べてるの家の恋愛・結婚・子育てに関する当事者研究の活用
      / 伊藤知之,池松麻穂,吉田めぐみ
  4.統合失調症の人の恋愛・結婚・子育て―症例を通しての考察 / 池淵恵美
  5.脳卒中高次脳機能障害を呈した症例の家庭復帰(家事・育児)への支援
      / 三瀬和彦,助川雄紀,宇野正顕,中林若菜,長坂真由美,中村晴江
  6.関節リウマチ患者と共に生きるための作業療法とは / 林 正春
  7.高齢者の恋愛・結婚・性―症例を通しての考察 / 荒木乳根子
  8.脊髄損傷者に対する恋愛・結婚・出産・育児・性の支援
      / 玉垣 努,野上雅子
  9.海外での性の支援の捉え方―パキスタンにおける女性脊髄損傷患者への
     性の情報支援をめぐって / 奥田真由美
  10.海外での恋愛・結婚・出産・育児・性の支援の捉え方
     ―北欧スウェーデンの場合 / 河本佳子
 
3章 共に生きるための支援特性と社会・資源・制度
  1.精神障害と「性」関係の実現―医師の立場から / 岩田 俊
  2.社会資源・制度について―作業療法士の立場から / 山粼勢津子
  3.精神保健福祉士の立場から / 上野容子
  4.看護師・助産師によるセクシュアリティの支援 / 益田早苗
  5.地域の保健師の立場から / 工藤一恵
  6.社会福祉における家族支援の現状と課題 / 梶浦志保子
  7.家族がうつになった場合の関わり方について / 向後善之
 
4章 共に生きるための作業療法の実際
  1.身体障害領域
   1)身体障害に対する作業療法による性の支援 / 紱永千尋
   2)女性上腕切断者への相談支援 / 松本麿
   3)男性頸髄損傷者の性機能の改善 / 玉垣 努
  2.精神障害領域
   1)「共に生きる」ことの考え方,支援のあり方 / 岩根達郎
   2)精神障害領域での相談・支援事例 / 岡庭隆門
   3)精神障害者の結婚・出産について―事例を通して考える
       / 大西真澄美,坂上千里,村井千賀,栃本真一
  3.知的・発達障害領域
   1)発達領域の作業療法士は,恋愛・結婚・出産・育児・性について
      支援できるのか? / 黒澤淳二
   2)長期的な支援を通して / 大西美智枝
   3)子どもとその両親―悲しき一面 / 西出康晴
  4.介護・加齢領域
   1)共に生きるためにあなたならどうする? 当事者のススメ!
     ―病気の○さんから,○さんという病気を抱えた方へ
      共感スイッチを作動させよう! / 川本愛一郎
   2)“性”から“生”へ―ライフステージを重ねてきた方々への共生支援
       / 浅野有子
   3)娘を独り占めしたい父の願い / 新蔵ひとみ
  5.ボバースコンセプトの視点から―自信をもつことから社会参加へ / 立松さゆり
  6.ピアカウンセリングからみえてくる支援のあり方 / 楜澤直美
  7.虐待(性的虐待含む)への関わりと共に生きる支援 / 鶴見 香
 
5章 共に生きるための教育
  1.作業療法士への教育―卒前教育(学校教育) / 長尾哲男
  2.作業療法士への教育―卒前教育(学校教育)
    ―学生の立場からみた障がい者の恋愛と性の教育は卒業後臨床に
     どう反映されたか / 大久保篤
  3.作業療法士への教育―卒後教育(臨床教育) / 川原 薫
  4.知的障害特別支援学校の現状と課題―「自分らしく生きる」ための
     性教育を求めて / 金子光史
  5.肢体不自由児施設での性教育 / 堀野宏樹
  6.こころとからだの主人公に / 熊本まり
 
6章 当事者・家族からの声と提言
  1.人として,あたり前に生きるサポート体制づくり / 橋本弘子
  2.こころを病んでいる私の結婚と出産 / 北村庄子
  3.私の人生を変えた作業療法士との出会い / 中村勝
  4.当事者に聞く「人生漫遊・老境謳歌
     ―出逢えてよかったってことにしとくか / 浅野有子
  5.高次脳機能障害と向き合って―1年前に戻れるものなら戻りたい
      / 本橋三枝子
  6.ボランティアの立場から―性のノーマライゼーションを目指す活動から
     みえたこと / 田畑雄吉,松浦温子,長田杏奈
 
7章 共に生きるための支援と今後の課題
  1.「障害」は力なり / 小山内美智子
  2.当事者の立場から―限界なく自己信頼を取り戻すために / 安積遊歩
  3.障害をもつ人たちの「性」を取り巻く今日的課題と支援方法 / 谷口明広
  4.〔座談会〕作業療法士だからこそできる「共に生きるための支援」
           / 鶴見隆彦,香山明美,長尾哲男
         編集委員として参加して / 宮崎明美
 
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