今日は、吉祥寺駅そばの武蔵野公会堂までパーソンセンタード・ケア特別講演会に行ってきた。英国ウースター大学のドーン・ブルッカー先生と長谷川和夫先生のお話。
ドーン・ブルッカー先生の以下の著書を購入。

VIPSですすめるパーソン・センタード・ケア

VIPSですすめるパーソン・センタード・ケア

イギリスでは、2009年に国家認知症戦略が始まり、早期診断、高い水準のケア、抗精神薬は最低限に、などが義務化されたそうだ。現在は、パーソンセンタードという概念以外にも「関係性」という概念も認知症ケアとして注目されるようになっているとか。ウースター大学認知症学部の動きは国家戦略と一致していて、2009年に設立され、現在は15名のスタッフとともに早期診断、エンドオブライフなど、45のプロジェクトが立ち上がっているのだそうだ。

ドーン・ブルッカー氏の新しい考え方は、故トム・キットウッドのパーソンセンタードケアのとらえ方を4つの視点、24の指標に整理したところにある(らしい)。4つの視点とは、VIPSと表現される。Vは、人々の価値を認める、Iは、個人の独自性を尊重する、Pは、サービス利用者の視点に立つ、Sは、相互に支え合う社会的環境、である。

強調していたこととして、薬理的手法、非薬理的手法という二分化した方法論的理解についての問題であった。それでは様々な可能性を探索できないということ。薬理的、心理的、社会的、生理的、栄養的、精神的、創造的、人間的、体系的、公衆衛生的・・と幅広い介入の可能性があることを強調。

理念を実践に繋げることのむずかしさが普及を妨げていることもあるらしい。今後は、理念を実践に移す方法を考える必要があるとのことだった。

長谷川先生のお話は、アルツハイマー病の患者数の伸びが著しい理由は、病気期間が長いために累積しているのだろうと推測し、アルツハイマー病に対応できれば大きな武器になるという導入から、医療現場でのパーソンセンタードケアのあり方について、経験談を交えてお話。楽しいお話だった。認知症ケアの技法の1つとして、明るい楽しい気分を大切に、とあったが、まさにそんな雰囲気をかもし出されていた講演で、なるほどこんなふうな感じで普段、認知症の方に接しておられるんだろうなというのが伝わってきた。